日本各地の「海に興味・関心がある子どもたち」と一緒に海のミライを考えるプロジェクト“海のキッズサポーター”。今回は埼玉県在住の小学4年生をご紹介します。彼女の海に対する想いや海に携わる活動をご覧ください。
海が大好きです。残念ながら海に近くない所に住んでいますが海を見ると、嬉しくなって「海だ〜!」って叫んでしまいます。広くてキラキラしていて、とってもきれいだからです。小さい頃から、磯遊びやビーチコーミングが大好きです。遊びに行く浜は、どこもきれいで、ピンク色の貝殻やシーガラスを宝物を探すような気持ちでした。幼い頃、砂浜が続くきれいな景色の中、カラフルな砂のようなものが、たくさんある事に気づきました。なんだろう?とよく見ると、カラフルな砂のようなものが、プラスチックゴミだとわかって、驚いて悲しくなりました。その場所は、砂のようなプラスチックが溜まりやすい場所だったのだと思います。関心を持ち始めたきっかけでした。
近くの本屋さんでおこなわれた「海洋プラスチック汚染」のJAMSTECの中嶋亮太さんの講演を小学校1年生の時に聞きにいきました。海で見かけるプラスチックゴミの事や、プラスチックのリサイクルの事情や、一般家庭で知らずに知らずに発生させているマイクロプラスチックについて教えてくれました。身近なマイクロプラスチックは、日の当たる場所にあるプラスチック用品、とくに洗濯バサミが例にあがっていました。紫外線がプラスチックを劣化させて、ボロボロにしてしまいます。海洋のプラスチックは魚がエサだと思って食べてしまったり、劣化して粉々になってしまいます。また、光の届かない深い海の底では、捨てられた時の姿のまま沈んでいるかもしれませんと、中嶋さんは教えてくれました。今、科学者の手でバイオプラスチックなど新しい技術が開発されています。小さな私達にできる事は、プラスチックを確実にリサイクルやゴミとして出す事です。プラスチックは、燃やすと水と二酸化炭素になるからです。
この講演をきっかけに、私も「ハチドリのひとしずく」という絵本のように、小さな事だけど、できる事を前向きに取り組んでいく事にしました。1つ目は、屋外の強い紫外線が当たる場所でプラスチック製品を使わない、放置しない、ポイ捨てしないことです。洗濯バサミはステンレスに、プランターは陶器や麻袋に変えました。
2つ目は、積極的にリサイクルすることです。ペットボトルは近所のお店に回収するとポイントがもらえる機械があるので、楽しみながら持っていきます。すぐに砕かれている音がするので、ここからリサイクルされていくんだと思うと、とっても気分がいいです。
また、循環型のリサイクルLoopを利用しています。ガラスのボトルなどに入った商品で、使用済み容器をボックスに返却すると洗浄・充填され、新しい商品として再びお店に並びます。アプリが必要で、バーコードを貼って容器を返却すると容器代が返って来ます。こういったリサイクルがもっと増えると嬉しいです。ガラスは地球の天然素材で、人体に安全だからです。 こういったリサイクルの取り組みをしている企業の方に感謝しています。
3つ目は、もっと知ることです。海ごみ問題や海の環境について、調べていこうと思います。たとえ少しずつかもしれませんが、今すぐできる事をやっていきたいです。
お茶の水女子大学で推進している「海と日本PROJECT全国一斉ウニの発生体験」に2022年秋から2回参加しています。 近くのアクアショップでウニを見るのが好きだったので、ウニを卵から育てられるのをホームページで知ってとても嬉しかったです。卵の細胞が割れていくのが、とっても不思議でした。1日たってふ化してからは、くるくる元気に動くので顕微鏡で追いかるのが大変でしたが、毎日少しずつ姿が変わるので観察するのが楽しかったです。幼生からウニの姿に変態する時には、幼生もがんばっているのが伝わってきて、応援する気持ちで見守りました。目の前でウニの姿になった時には感動しました。コンテストもあり、観察記録をまとめましたが、ウニの姿に変態成功した時の様子があまりにも可愛くて感動したので、絵本にしました。
顕微鏡の中の小さな子たちの命・感情・神秘さに感動しました。現在4匹育っています。変態してから、一年でトゲの先からトゲの先まで大きな子で大体4cmくらいです。管足でワカメを上手に頭に乗せる姿がかわいいです。ウニは、大食いだと思われるかもしれませんが、現在の大きさで1日の食事量はワカメ1、5cm角くらいです。それ以上あげても食べません。育てていく上でウニの育つ海を見に行きましたが、海藻もない岩場にいて何を食べているのだろう…?と、とても疑問に思いました。調べると、磯焼けが問題になっている事を知りました。これをきっかけに、海の環境や磯焼け、地球温暖化を学びたいと思うようになりました。
2022年秋 アート部門2 優秀賞・一般特別賞
2023年夏 観察レポート部門 グランプリ・一般賞
2023年夏 アート部門 グランプリ・特別大賞・一般賞
を受賞。
もっと知りたいという思いから、現在は大学の科学講座に参加して科学者の先生方から学んでいます。地球温暖化や水や魚などについて学びました。温室効果ガスは、二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、水蒸気も地球を温めてしまうそうです。海にも大きく影響すると知り、このままだとお魚や珊瑚が減ってしまうのではないかと心配になりました。
地球温暖化や海について調べていくうちに思ったのは、浅瀬の環境の大事さとアマモと言う植物の事でした。水族館でアマモを見ると、葉にたくさんの酸素の泡をつけていました。海草や海藻は、二酸化炭素やチッソを吸って酸素を作り、吸った炭素を何千年もため込んでくれます。本当に植物ってすごいなぁと感心してしまいます。アマモの別名は日本一長い植物名で、竜宮の乙姫の元結の切りはずし(リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ)と知りました。とっても素敵な名前だと思いました。アマモは長い葉を持っていて、魚のすみかにもなります。日差しの強い日でも、魚の避難所になりそうです。もっともっと増えて欲しいです。
アマモの取り組みを知りたいと思い、2023年国際アマモサミットにオンラインで参加しました。アマモを増やすため、子供や高校生、市民や企業の方々、一生懸命取り組んでいるのを知りました。自然相手に大変な事もあると思うのですが、工夫やアイデアを出しアマモを増やそうとしている姿に感動しました。同じキッズサポーターの瀬ノ上さんの演説は、ブルーカーボンの事がわかりやすく可愛い絵で表現されていて、とっても思いが伝わってきました。桝太一さんが、ブルーカーボンはまだまだ知られていないと言っていました。内陸部でも、アマモを増やす取り組みができれば関心が深まるのかもしれないと思いました。
海藻や海草(うみくさ)アマモの研究観察をしてみたいです。海藻や海草を育てるコツをつかんで広めたいです。 どのように育てられるか、よく観察する事から始めたいです。水族館の方に聞いたら、育てるのが難しいとお聞きしました。もし良い育て方があったら教えていただいて、自分でもコツを積み重ねるようにして育ててみたいです。
地球温暖化や、海の問題、海を守る大切さを自分が学んだ事を通して、多くの人に伝える事ができたらと思っています。
海と日本プロジェクトのさまざまなイベントに参加しながら、海への理解を深めていく「海のキッズサポーター」。今回取材をしたUni(ユニ)さんも、海のミライをしっかり考えてくれていました。小さな命ひとつひとつを大切に想いながら、地球温暖化や海の環境という大きな問題に取り組む姿、何事にも熱心に向き合う姿が素敵でした。これからが益々楽しみです。海と日本プロジェクトでも海や魚を守るべくさまざまな活動を行なっていきます。海のキッズサポーターの皆さんとも力を合わせて色々な取り組みをしていきたいと思いますので、皆様も是非共有していってください。活動情報はSNSでお知らせしています!
海プロ東京Twitter: https://twitter.com/umiprotokyo
お茶の水女子大学による、海洋教育促進プログラムです。全国各地にウニの受精実験教材を一斉発送し、利用者同士をオンラインで繋いで一体感を持ちながら海を学んでもらおうというイベント。夏、秋、冬、とそれぞれの時期に繁殖期を迎えるウニを用いて、年3回の開催予定です。
「全国一斉ウニの発生体験」に参加され、2023年夏の表現作品コンテストでは観察レポートとアート部門の両方でグランプリを獲得されたUni(ユニ)ちゃん。2023年夏のアート部門のグランプリ作品はオリジナルの折り紙でした。いざ作ってみるとちゃんと観察しているかどうかで出来栄えが異なってくるというなかなかに深い作品でした。Uni(ユニ)ちゃんからいただく実験に関する問い合わせメールやオンライン会での質問は専門家顔負けの内容も多く、いっぱい自分で勉強しているんだろうな、鋭い観察眼を持っている子なんだろうな、と思いながら対応しています。発生体験では見事にウニを卵から稚ウニ、さらには小ウニまで育て上げることに成功しました。これからも良く学び、たくさん考えて、目標に向かって頑張ってください。(お茶の水女子大学 湾岸生物教育研究所 和田先生からのメッセージより)
埼玉県
小学4年生
小さな頃から海が大好きという女の子。小1の時に聞いた「海洋プラスチック汚染」の講演をきっかけに、海環境への意識が強くなり取り組みを開始。勉強していく中でブルーカーボンを知り、現在はアマモについて研究中です。目標は海の問題や海を守る大切さを、多くの人に伝えていくこと。