レポート
2022.11.20

天竜川をせきとめ?!かいぼり体験

天竜川の生き物観察やマイクロプラスチックを調べよう!

天竜川をせきとめ?!かいぼり体験

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2022年10月に長野県伊那市の天竜川にてかいぼり体験を行いました!

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このイベントは、テレビ東京の人気番組「緊急SOS! 池の水ぜんぶ抜く大作戦」の番組制作チームも参戦!番組内で水を抜いた池から出る大量のごみを目の当たりにしてきた池の水チームと、海ごみ問題に取り組む海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUEがタッグを組んだかいぼり体験です。

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参加者は伊那市の小学生親子ペア30組。

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生き物先生、ごみ問題先生も同行し、生き物捕獲作業・川ごみ拾い・勉強会の3部構成で、海ごみ問題や環境問題に繋がる、川ごみや生き物を調査しました。

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そもそもかいぼりとは、池や沼の水をくみ出して泥をさらい、魚などの生物を獲り、天日に干すこと。今回は川で行うため、1週間前から川を堰き止めてから水を抜く必要があります。そのため、伊那市役所や天竜川漁業組合、建設会社や水抜き業者など、多くの人たちの協力をお借りました。

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快晴に恵まれた当日。開会式には伊那市長さんも駆けつけてくださいました!

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また、天竜川漁業協同組合さんによる投網も披露。

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開会式が終わると「川の生き物獲るぞー!」「おーーー」の掛け声で子供たちは川へ次々入水していきます。秋とは思えない暑いほどの日差しなので川の水が気持ち良く子どもたちのテンションもアップ!

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子どもたちに、虫や魚の捕まえ方、捕まえた生き物の名前を、レクチャーしてくれたのは、池の水ぜんぶ抜く大作戦でもお馴染み久保田先生。環境保全団体「NPO birth」自然環境マネジメント部の部長でもあり、絶滅危惧種の保護増殖、外来生物の防除などの仕事をしながら、テレビ番組への出演や本の執筆を通して環境問題の普及活動をしている先生です。

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池の水ぜんぶ抜く大作戦の番組スタッフも参加し、子どもたちに魚の捕まえ方を丁寧に教えてくれました。

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最初は戸惑っていた子どもたちも、しばらくすると「いたー!」「捕まえた!」と歓声。

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大きな魚はいませんでしたが、久保田先生から「わ!すごいね」「どこで見つけたの?」と驚かれる様な、キレイな川にしか生息しない虫がいくつも捕獲できました。

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また、秋なのにオタマジャクシの姿も!通常おたまじゃくしは春のイメージ。カエルになって冬眠するするのですが、ツチガエルはおたまじゃくしのまま越冬することもあるそう。越冬した幼生は大型になり、8cmになる子もいるとか!

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かいぼり体験後は、河原ごみ拾い。一見そんなにごみが無い様に見えましたが、一歩踏み込むとごみ、ごみ、ごみ…!ペットボトル、お菓子の袋、コンビニのお弁当箱、缶、ビニール袋のほか、河原では使わないはずの納豆容器や洗剤容器、肥料袋や苗ポットも多く見られました。

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20分程度でしたが、ごみ袋が足りない程。ごみ拾いが初めてというお子様も多く、 「こんなにごみがあったよ!」「この川おかしいんじゃない?」「うそみたい…」と、驚きを隠せない様子。

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「え!もう終わり?まだ沢山ごみ有るよ!お父さんまた来よう?!」と言った嬉しい声もあちこちから聞こえ、これを機に意識を向けてくれると嬉しいなと感じました。

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拾ったごみは軽トラックに。

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投げ網をしてくれていた漁業組合の人は、川の中から不法投棄と見られるラジカセを拾い上げていました。

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テントに戻ると、生き物採取のプールに、先ほど捕獲した魚や虫たちが勢揃い。 外来種は持ち出し禁止。その場で処分しなくては行けないため、テントの下でレクチャーしてもらいます。

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「池の水で良く出てくるのはオオグチバス(ブラックバス)ですがそれは池のみ。ここで獲れたのはコクチバスといって、川などの流れている水域に住む魚です。顔に斜めの線が入っているのも特徴で、オオグチバスとの違いは、口が小さいく口の端が目よりも前にあること。オオグチバス同様に外来種で、日本の生き物「在来種」を食べます。」

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「例えば今日獲れたナベブタムシもコクチバスが良く食べる虫で、現在希少になっています。どうやって外来種を減らしながら、在来種を守っていくかというのを皆んなで考えていかなくてはならないですね。」と久保田先生。

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みんなもコクチバスを観察しました。

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魚を触ったことがない!という子供も多く、初めて触ってヌルッとした感触に悲鳴をあげたり、最初は嫌がっていた子も、だんだん興味を持って触り出したり、楽しい時間となりました。

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天竜川現地での学びを終えると、今度は市役所へもどり、先生方の講義を聞きます。最初はごみ問題レクチャーから。教えてくれたのは小口先生。「まず外に出てみましょう!」と屋外に出ると、ごみ拾いで集めたごみがズラリ。改めてどの様なごみが有ったか、多かったのか一緒にチェックしていきます。

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1番多かったのはやはりペットボトル。次にお弁当容器。その次に多かったのは肥料の袋でした。「農業のもの、洗剤、納豆、河辺で使う人はあまり居ないですよね?これらはきっと町から流れたものですね」「ペットボトルも、真っ黒に汚れた古いものはきっと遠くから流れて来たのだと思います。」と小口先生。

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部屋に戻り、動画やグラフを上映しながら、今海で起きているごみ問題、川や町から流れていること、プラスチックごみのこと、4R(リデュース、リユース、リサイクル、リプレイス)、自分達にできることを更に詳しく説明してもらいました。

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子どもたちは勿論、親御さんも真剣な眼差し。

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ビデオを回すお母様や、配布した学習ノートにどんどんメモを書き込む子どもたちの姿が多く見られました。

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続いて、生き物レクチャー。教えてくれたのは久保田先生。今日捕まえた生き物を説明してくれました。住んでいる生き物を知ることで、川の現状が見えてくるそうです。

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捕まえた魚は、ウグイ(上流〜下流に生息。多少汚い川でも生きられる強い魚・遊泳魚)、普通のどじょう(希少・外国どじょうと混じり純粋などじょうが減っている・池や川に生息)、しまどじょう(川だけに生息)、ヨシノボリ(ハゼの仲間・底性魚)、カジカ(石がごろごろしている流れの早い川に生息。長野県を代表する魚の一種)。外来種のコクチバスにも触れ、外来種問題についても言及しました。

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そして、虫。先生が配布してくれた水質階級の指標生物プリントと見比べながら、種類を見ていきます。キレイな水に住むというカワゲラや、ヘビトンボがいました。さらにとても多く獲れたナベブタムシ。実はこの虫は水がキレイ且つ水質が安定した良い川にしか生息しない、とても珍しい虫で、先生も興奮したとのこと。これで、天竜川はとても水がキレイで環境が守られているということが分かりました。嬉しい結果ですね。

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そして1番多く取れた虫は、ヒゲナガカワトビケラ。比較的きれいならばどこでも生息出来るそうで指標種ではないそうですが、長野県天竜川の食文化「昆虫食」としてよく食べられている虫だそう。「昆虫食」の虫とは川の虫のことだったのですね。

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説明が終わるとフリータイム。前に並べられた水槽を観察しながら、一生懸命質問をする姿があちこちで。

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部屋の横に並べられた、プラごみに挟まった魚やペンギンなどのパネル写真をみて衝撃を受けたり。

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マイクロプラスチックの見本を見ながら熱心に説明を聞き

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自分達の机に戻って親子でノートをまとめる姿。解散時間が過ぎても熱が冷めない子どもたちが多く、その真剣さに胸を打たれました。

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「魚を獲るのが楽しかったです!」と、参加してくれたOくん。「生き物が面白かったです!虫捕まえました。」と、4年生の男の子。 「小学校でごみ拾いをしたことがあったけど、河原でのごみ拾いははじめてでした。楽しかったです」と、4年生の女の子。

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「魚を獲るのが1番楽しかったです。またやってみたい。」と、4年生の女の子。「授業で川に来たことがあったけど、授業よりも楽しかったです。魚や生き物が好きです」と、4年生の男の子。「魚釣りをしたことなかったけど、魚を獲るのは面白かった」と、6年生の男の子。

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「今日暑かったから川の中が気持ちよかった!魚とるの楽しかった!」と、4年生の男の子。「魚がいっぱい獲れて楽しかった。肥料のごみなど知って身近なんだと分かった」と、5年の男の子。「以前から環境に興味があり、ごみを出さない様にしてた。ペットボトルキャップを集めてワクチンにするボランティアにも協力している。みんなも集めてほしい。自然が好き。在来種や絶滅危惧種も守りたいし、海の自然環境を守りたいと思いました。」と、5年女の子。

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「世界で起きている問題を知れて自分のためにもなったり、動物が苦しんでいることが分かった。今社会で勉強していたので、みんなにも教えてあげたい。ごみ拾い思った以上にごみが有って興味深かった。」と、4年女の子。「かいぼりが楽しかった。魚も虫も捕まえられた。普段川遊びはあまりしないけれど自分がさっきとった魚や虫を勉強できて面白かったです」と、4年生の女の子。「レアな魚の特徴や生息など聞けて面白かったです。また思った以上のプラごみ、ペットボトルの多さにびっくりしました。これからはごみを見つけたら拾いたい。」と、6年生男の子。

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「実は私が勝手に申し込んだだけで、子供は興味を持っていなかったんですけど…。勉強会も真剣で、さっきから先生に質問をしたり、水槽を必死に眺めたり、こんなに何かに夢中になるところを初めて見たんです。おどろいています。嬉しいです!」「環境問題にこんな興味を持つとは思わなかったです。家族でも勉強していきたいと思います。貴重な機会をありがとうございました。」という、親御さんからの嬉しい声もいくつもいただきました。

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教科書や映像だけではない、リアルな学びを含めると、これからの学びも楽しくなりそうですね。生き物のこと、環境のこと、海ごみのこと、皆んなに伝わってとても良いイベントなりました。ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、取材や発信をしてくれた皆様、ありがとうございました。

 

かいぼり体験ご協力の皆さま

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<池の水ぜんぶ抜く大作戦チーム>
◆株式会社Hu:「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」を制作している番組制作会社です。今回はテレビ撮影と併せて、イベントサポートも担当。
◆NPO birth:生物講師の久保田先生が所属している環境教育と普及啓発の団体です。「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」にも参加しています。
◆株式会社丸三興業:「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」でもかいぼり作業をしている池清掃の会社 です。天竜川の水抜き作業をしてもらいました。

<長野県伊那市&ボランティアチーム>
◆全国川ごみネットワーク:ごみ講師の小口先生が所属している、川ごみ問題の解決に向けた活動団体です。 シンポジウム、啓発・環境教育、情報発信等を行っています。
◆株式会社宮下建設:長野県伊那谷を拠点にした建築・土木・住宅事業を展開する総合建設会社です。天竜川のせきとめ作業をしてもらいました。
◆長野県伊那市役所:食・水・エネルギーを自ら生み出す持続可能な夢のある地方都市を目指して取り組んでいます。かいぼり事業の主会場として多面的にサポートしてくださいました。
◆天竜川漁業協同組合:諏訪湖からの天竜川を主とし、南アルプスからの三峰川・中央アルプスからの各支流を管轄し、魚の放流活動や地域の皆さんのふれあい活動などに取り組んでいます。かいぼり事業のアドバイス、サポートなど多岐に渡ってフォローしてくださいました。
◆天竜川上流河川事務所(国交省):河川事業や砂防事業など、流域の人々に安心して暮らしていただける川づくりを進めています。河川使用の許認可や事業実施のサポートをしてくださいました。
◆国際ボランティア学生協会IVUSA:1993 年に設立されたNPO で、国際協力・環境保護・地域活性化・災害救援・子どもの教育支援の5 つの分野で活動しています。現在約2,500 人の大学生が所属。

 

→BSテレ東みんなのあおいろ 2022 「第22回 海がない地域でも海を守ることができる! 天竜川のかいぼり体験」

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