池の水メンバーが海のごみ問題を抱えている2箇所を調査した「海のごみぜんぶ拾う大作戦 第2弾」。こちらのWEBページでは番組後編として、大学生たちと一緒に行った長崎県・対馬でのビーチ清掃をまとめました。ナビゲーターは引き続き、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん。東京大学大気海洋研究所の道田豊教授です。
長崎県対馬は入り組んだリアス式の海岸と島々が織りなす美しい景観。浅瀬の白砂に広がる透明な水は対馬ブルーと称賛されており、自然が育む豊かな生態系はダイバーや釣り好きにも愛されています。
今回ごみ拾いで向かったのは、対馬の北部にある井口浜海水浴場。海に向かって大きくV字に開いた地形が特徴で、一番奥まった場所に200mのビーチがあります。
参加してくれた大学生は、全国80大学2500人が所属する日本最大級の学生ボランティア団体、IVUSAのメンバー。全国各地から来てくれました。
そして助っ人として元自衛官芸人・やす子さんも緊急参戦。みんな真剣そのもです。
対馬ブルーのイメージを持ったまま向かった井口浜海水浴場。綺麗な海かと思いきや、なんと海岸はごみだらけ。これは深刻です。
ここはごみが多すぎて人数が多くないとやらない場所なんです。ごみが多くたまる海岸として有名で、取っても取っても流れてくるんです。と、対馬のサポートメンバー。
そう対馬の海岸には韓国や中国のごみが大量に漂着しているのです。それもそのはず、対馬は日本で一番韓国に近い島。対馬から釜山までは50キロと天気良ければ肉眼で見える距離。
さらに東シナ海から日本海へと抜ける対馬海流の流れがぶつかる場所のため、海流に乗った海外のごみが島のリアス式海岸に入り込み、大量に漂着してしまうのです。
そして対馬でも回収しづらい海洋ごみ「漁具」に苦しんでいました。ナイロンなどの化学繊維で編まれた漁網は特に頑丈で、他のごみを絡めとりながら大量に打ち上げられてきます。
そして厄介なのが、砂に埋もれたパターン。人の力ではとても掘り起こすことができず、地元対馬の人も気合のサポートでミニバックホーが登場。
巨大すぎる魚網を引っ張り出し、運び出しにはクレーン付きトラック。
こうした漁師の捨てるごみについて、「陸からのごみが8割といいますが、恐らく4割は海を使っている人が出してると思っています。明らかに一番多い海ごみは漁具。自分が海で生活させてもらってるのに、よく捨てるという行為が出来るなと思います。先を考えんのかな…。」と、岡山漁師の大室さん。誰も見ていないからと、魚網などを海に投げ捨てる漁師がいるのだといいます。
今回対馬の清掃で集まったのは、1t土嚢が53袋のごみ!
種類ごとに分別して集めたことで、対馬市も処分がしやすくなります。ごみを全て引き渡してビーチクリーン大作戦は完了。そしてこれが大学生たちの汗と努力の結晶です。
「僕が子供の頃歩いた、美しい砂浜に今日1日だけ戻ってました。本当に今日はお疲れ様でした。ありがとうございました!」と、対馬サポートの対馬CAPPA末永理事。
この美しさが1日だけの夢で終わらないよう、地道な努力を続けていきます。
「綺麗になると気持ちいいですけど、またすぐに汚れてしまうんだろうなと思うと切なくなりますね。」と淳さん。
中国や韓国のごみが日本に押し寄せてるという映像もありましたが、日本のごみも海の向こう側に行っていますので、世界の海問題です。
日本の100円ライターをはじめとするごみが、ハワイや太平洋をぐるっと回ってフィリピンに漂着したということも分かっています。東日本大震災の際にも、津波にさらわれたものが大量にハワイ諸島へと流れ着いたと言います。
そしてもう1つの問題は、海岸に流れ着いたプラスチックごみには泥等も入るため、通常のリサイクルには向かないということ。しかし様々な企業が、海ごみリサイクルで何か役に立てようという取り組みをおこなっているそうです。
対馬の海岸清掃で回収した大量のごみは、対馬市の方で全て回収。処分には手間と費用が必要ですが、コスト削減対策に取り組んでいます。実は硬質プラスチックと呼ばれる頑丈なプラごみは、リサイクル製品の原料として業者に買い取ってもらえるというのです。
ごみから原料へ転換できれば回収にも力が入ります!大変な作業ですが、回収したごみは綺麗に洗浄し、少しでも再加工しやすいように色分けしていきます。
そして砕機を使って1センチ角ほどの大きさのチップ状に加工。この作業により、海ごみの処分費が4000万円から1600万程度にまで減ったそうです。
海洋プラスチックごみのリサイクルは注目度が高く、様々な企業が製品化の努力を重ねています。東京オリンピックでは表彰台の原料の一部に活用され、海ごみ問題を考え直すきっかけにも役立ちました。
「この番組ご覧になった方々の「ごみに対する意識」を変えてもらうことが大切です。難しい問題ですが、自分達に出来ることはやっていく必要がありますね。」と、淳さん。
「海に出てしまったごみ、特に小さくなってしまうと回収ができなくなってしまいます。そのため海岸に漂着するごみも、何回も何回も繰り返して拾うのは本当に大変ですが、海に流れ出て回収出来なくなることを思えば、見えるうちに拾っていくしかないんです。そして世界各国が海洋プラスチックごみの汚染を減らす努力をしていくことが大事だと思います。」と、道田教授。
2050年には魚の量を上回るかもしれないと言われる海洋ごみ。海の未来を変える鍵はきっと私達1人1人の胸の奥にあります。
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