いろいろな情報をイラストと一緒に構成してわかりやすく表現するインフォグラフィック。海をテーマにしたインフォグラフィックのコンテストが2021年の夏に行われました。
原案を考えたのは小学生。そのアイディアを専門学校のお兄さん、お姉さんと協力して、1枚のインフォグラフィックとして完成させました。
海洋プラスチックや温暖化など環境問題に関するものや、魚や珊瑚などの生き物についてなど、海の恵みや問題をまとめた作品が勢揃い!
応募総数132作品の中から選ばれた20作品を、プレゼン形式の発表で紹介した海洋インフォグラフィックコンテスト。司会は名越涼さんと、岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さんが務めてくださいました。
発表するのはコンテストに応募してくれた小学生。海に関する様々なことを自由研究で調べました。
そしてその研究成果を、美しい作品に仕上げてくれたのが、御茶の水美術専門学校の生徒たち。第一線で活躍するデザイナーを輩出する名門校で、様々なデザインを習得した学生と柔軟な発想の小学生がコンビを組んだらどのように素晴らしい作品が出来がったのでしょうか。
新型コロナウイルス蔓延防止のため会場に集まったのは東京都在住の参加者のみ。
他のみんなは残念ながらリモートでの参加となりましたが、画面越しでも発表の熱意は十分伝わってきました!
審査員はインフォメーション・デザイナーの櫻田潤さん、サンシャイン水族館の水族館の丸山館長、羽田未来総合研究所の大西洋さん、ナショナルジオグラフィックの斎藤海仁さん、3710Labの田口康大さん、海と日本プロジェクトを主催する日本財団の海野常務理事と、様々な分野のプロフェッショナルが務めました。
今回のコンテストでは、海ゴミをはじめとする環境問題をテーマにした作品が最も多く、水産業に関する作品もたくさん寄せられました。それでは20作品全てをご紹介します。
東京都6年 大西凛さん・森田聖さん
マイクロプラスティックゴミを減らそうという呼びかけの「もっと知ろうよプラスチックのこと」。「凛さんはこれを具体的にどういう人たちに見てもらいたいですか?」という審査員からの質問には「小学生になっていない子にも分かってもらえるように工夫しました」と、答えた大西さん。
実は、プレゼンテーションの後に、審査員からその場でいきなり問われる質疑応答があったんです。ここでは紹介しきれませんが、皆さん本当にお見事でした!
埼玉県5年 三輪風乃衣さん・薄井 萌さん
プラスチックが生き物に与える悪影響を取り上げた「海洋生物は苦しんでいます」
神奈川3年 関真一朗さん・竹野愛友奈さん
タンカーから流れてた石油による海の汚染を調べた「船の事故の影響」
兵庫県6年 中西麻央さん・広瀬みなみさん
陸上から出たゴミや排水による海洋汚染をまとめた「海が汚れる原因と対策」
神奈川4年 葛西彩音さん・湊聖陽さん
CO2という切り口で海洋問題を捉えた「大気の問題は海の問題」
東京都4年 四良丸晟さん・藤井友朗さん
タイトルにひねりを効かせて注目度抜群だった「プラスチックゴミの何が悪いんや」
鹿児島4年 濱田蓮音さん・屋比久友芽さん
地元の海に住むウミガメを題材にゴミ問題を描いた「喜入の砂浜で考えたアカウミガメと僕とSDGs」
東京都3年 江口耀さん・阿南日奈多さん
温暖化が海に及ぼす影響という観点で海の未来を研究した「地球温暖化が続くと海はどうなる?」
埼玉県5年 波多江菜心さん・棟方みなみさん
人間ではなくゴミから見たという独自の視点がとてもユニークな「ゴミの人生で『天国or地獄』」
東京都5年 鈴木瑛梨花さん・濱田 悠希さん
プラスチックによって海洋生物が犠牲になっている危機感をまとめた「海洋プラスチック問題〜あなたにできることがある〜」
東京都3年 大西杏さん・望月朱音さん
大好きなお寿司を例に挙げて水産資源の問題に切り込んだ「私達が『食べて守る!』海の恵み
群馬県5年 萩原竜誠さん・西野双葉さん
日本と外国の水揚げ量を比較した「このままでいいの?日本の漁業?」
愛知県5年 山下栞奈さん・松川日和さん
日本を代表する食べ物をテーマに魚の産地を調べた「お寿司って本当に日本の食べ物?」
埼玉県4年 斎木宗祐さん・小林 拓海さん
食用魚の減少と漁獲可能量を考察した「未来に残そう 豊かな海!」
埼玉県5年 松崎亜瑚さん・高久光留さん
美味しい魚が食べられなくなる危機を訴えた「日本の水産業がピンチ!?」
静岡県6年 鈴木翔太さん・山下舞さん
地元沼津の特産品である深海魚に着目したユニークな作品「未利用魚を食べて水産資源を守ろう」
「捨ててしまう魚が…ということを、もっと観光客の方に知らせることができるといいかなというふうに思います。」と感想を述べてくれてのは、地域創生の専門家である審査員の大西さん。ビジネスとしての未利用魚のお話もあり、とても深みのある発表となりました!
東京都3年 川窪美来さん・間宮彩香さん
深海のロマンを熱く語ってくれた「深海に行ってみたい、見てみたい!」
静岡県5年 平林瑠唯さん・森田惇也さん
オンボロという珍しい自然現象をテーマに、海ゴミと温暖化を扱った「みんなで守ろう海の命」
東京都5年 川口紗季さん・矢口あや子さん
絶滅の危機を訴えていますが、生き物じゃなくて、海を照らすと灯台というユニークな研究「灯台絶滅の危機!?」
質問では「デザイン灯台がいろいろある中で、もし自分でデザインしていいと言われたらどんな灯台を作ってみたいですか?」と聞かれ「灯台を造る地域によって違うと思うんです」と答えた川口さん。小学生のしっかりした意見にプロのデザイナーさんも「その通りですね!」となって笑いが起き、緊張していたみんなも一気にリラックスしました。
沖縄県4年 池間健護さん秋屋百萌さん
美しい海に囲まれた沖縄からは、地元の赤土問題を取り上げた「ぼくたちの美ら海やサンゴ礁を守るためにはどうしたらいい?」原因と対策をわかりやすくまとめた作品に、科学誌ナショナルジオグラフィックの斎藤さんからは、「農家の問題なんだけれども、どういうことが起きているのか聞きに行ったという調べる努力が素晴らしいです。そして解決方法もちゃんと書かれて、発表としてもインフォグラフィックスとしても素晴らしいものができたと思います。」と大絶賛の言葉をもらいました。
どれも熱い思いのこもった素晴らしい作品ばかり。この中で最優秀作品に輝くのは果たしてどの作品なのか。海を題材にした個性豊かな作品が発表された概要インフォグラフィックコンテスト。レベルの高さに審査員の皆さんも頭を悩ませます。
今回、コンテストにノミネートされた20作品は、9月11日から2週間、羽田空港第2ターミナルでも展示されました。海に対するみんなの想いを大勢の人が受け取ってくれましたよ!
さて結果発表。今回はナショナルジオグラフィック賞、サンシャイン水族館賞、そして最優秀作品に贈られる日本財団賞を設けています。
ナショナルジオグラフィック賞。
川窪未来さん・間宮彩香さん「深海に行ってみたい、見てみたい!」深海への夢とロマンがギュッと詰まってる作品「エベレストとか富士山とか、海底までの距離、国旗を置いたりなどの表現は、ナショナルジオグラフィックという雑誌でもよく使ってます!とても素晴らしいと思いました。」と、ナショナルジオグラフィックの齋藤さん。
サンシャイン水族館賞。
大西凛さん・森田聖さん「もっと知ろうよ!プラスチックのこと」深刻な海洋プラスチック問題を、明るい未来に繋げるためにカラフルに描いたこの作品。「より多くの方によりわかりやすく伝える。テーマがコンパクトにされていながら、課題点とか問題点ばかりじゃなくて、デザインも含めて明るく作り上げられている点が、水族館の伝え方ととてもマッチするなと思いました。」とサンシャイン水族館の丸山館長。
それでは最後に最優秀賞!の前に…、今回皆さんの作品が素晴らしかったということで、特別賞が4つ設けられました。選ばれたのはこちらの4作品、様々な魅力や問題を持つ海だからこそ、いろいろなテーマの作品が選ばれたんですね!「苦肉の策でありましたが、素晴らしい作品が多くて、甲乙つけがたい状況だったという事ををご理解いただければと思います!受賞された皆さんおめでとうございます。」と日本財団の海野常務。
そして日本財団賞は!
鈴木瑛梨花さん・濱田悠希さん「海洋プラスチック問題〜あなたにできることがある〜」。非常に高いクオリティの作品が集まった今回のコンテスト20作品の頂点に輝きました。
「1つ1つの紹介エピソードが具体的でした。しっかりと勉強しており、それが伝わる力強いプレゼン力も素晴らしかった。 また、元の自由研究は川から海へ流れる構図だったが、インフォグラフィックでは波のグラフに。2人の連係プレーが素晴らしかったです。」と岸壁幼魚採集家の鈴木香里武さん。
地球の7割を占める海。その問題について研究することは、地球の未来について考えることに直結します。より多くの人に知ってもらうためのインフォグラフィックで綺麗な海を未来に残す意義を1人でも多くの人に伝えていきたいですね。
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次回のみんなのあおいろは・・・
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