中高生が海に関する課題を自ら発見し、仲間と協力して取り組んで発表する「マリンチャレンジプログラム」。5回目の開催となる2021年度は、40チームが参加。この夏、2022年3月に行われる全国大会に向けて、地方大会が行われました。
熊本県立芦北高等学校が取り組んだのは「ヘドロを使ったアマモの栽培」。アマモは海に生える植物で水質浄化作用や小魚の隠れ家など、海にとって大切な役割を果たします。
2003年、漁師さんからの依頼をきっかけに芦北高でアマモ場の造成に取り組みはじめ、代々受け継がれる研究となっていました。
近年は「魚が増えた」「海が綺麗になった」と喜びの声が上がっていましたが、2020年7月九州を襲った豪雨で大きな被害を受け、18年間育ててきたアマモも一晩で台無しになってしまいました。
すぐに復旧に乗り出しましたが、海にたまった大量のヘドロを取り除くのは不可能…。しかし、このヘドロに注目したのです。それがヘドロを利用したアマモの栽培です。
成功の裏には、研究方法の立て方をサポートしてくれた地元企業アグリライト研究所の存在がありました。「高校生の頭の柔らかいフレッシュな考え方はとても面白くて。新しい発見、ヒントをもらって、ヘドロでは育たないという概念が覆されて研究が進みました」と、研究所の園山さん。
芦北湾のヘドロは山から流されてきたもので水質自体に悪影響を与えるものでなかったのです。「海流で巻き上がったヘドロが日光を遮断し、光合成を疎外されて枯死していたんです。」と、研究代表者の出水さん。
この研究で九州大会を勝ち抜いた芦北高校。2022年3月に開催される全国大会への切符を手にしました!
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2017年にトビハゼの発表で最優秀賞を受賞した田中さん。「マリンチャレンジは、アドバイザーからサポートを受ける事ができるため、研究者とは何か、研究とはどう進めるのかを知る事ができ、教えてもらったことは今でも力になっています」と、田中さん。
マリンチャレンジによって、解明されていないことを追求していく、ワクワク感を知る事ができた田中さんは、現在は東京海洋大学へ進学し、日本一周乗船実習など様々な活動を行っているそうです!
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もうひとつクローズアップする発表は、東京工業大学附属科学技術高等学校。研究テーマは「水中ヘビ型ロボットに脚をつけたら蛇足か 〜テトラポドフィスの真実を求めて〜。
ロボットのモデルになっているのは、テトラポドフィスという1億年以上前に生息していた4本の脚を持つヘビ。「蛇足」という無駄なもの指すことわざの真実を検証する研究です。ロボットにも小さな足がつけられています。
「生物をロボットにする事で、シミュレーションではわからないような条件が、実験することで見えてくきます。特に我々は化石をロボットに復元しているため失われた動きを知る事ができます。」
「更に、水中でできる機能を応用していけると、バイオメディックスという生物を自分人間のものに応用するという技術の一端を担えると考えています。」と、研究代表者の佐藤さん。古代生物の動きを現代社会に応用するなんてすごい発想ですね。
ロボットの構成は一見少し複雑ですが、頭、胴体、尻尾と分かれていて、それらを繋ぐ赤い線、黒い線が、動脈と静脈、そして、黄色い線が神経のようなイメージ。
12個のサーボモーターという角度制御できるモーターを使って、蛇の様な動き作り出し、その動きはプログラミングで制御しているのだそうです。
そして水中実験へ。途中で過電流が原因と考えられる故障が生じてしまいましたが、実験に失敗はつきもの。トライアンドエラーを積み重ねることで、より正確なデータを取ることに繋がり、言及を深めることができるんです。
残念ながら完成には至りませんでしたが、太古の生物を調べるためにロボットを作るという専門性を生かした研究発表。2022年3月に開催される全国大会への進出を決めました!開催する3月までの時間で研究をさらに深めて、素敵な発表をさせてください。
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次回のみんなのあおいろ 30分スペシャルは・・・
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