2025年1月13日(月)放送
まだ知られていない世界が広がる深海。日本の深海で発見されたとんでもないものとは?(こちらは「私達は海の90%を知らない 〜深海の謎に迫る〜」のWEB後編です。前編はこちら)
海野さんが見せてくれたのは大きめなおはぎのようなもの。なんだか少し濡れていてボツボツした手触り…。これは「マンガンノジュール(団塊)」というう海底にある鉱物資源。
海水に広く分布する元素マンガン。その団塊という意味を持つマンガンノジュール。これが我々の生活に欠かせないスマートフォンや電気自動車など身近なものに関係する大発見に繋がる。
2024年6月マンガンノジュールの驚くべき調査結果が発表された。このプロジェクトを託されたのは東京大学工学部の中村教授。海底鉱山資源探査のプロフェッショナルだ。
「南鳥島のほんの一部だけ見ても、マンガンノジュールが2.3億tとびっしり敷き詰められていると分かったんです。」と、中村教授。
さてマンガンノジュールとは?記者発表から遡るのぼること2ヶ月。海底資源の調査が行われた。この船には水深6000mまで潜れる無人カメラや、海底資源を拾うクレーンが搭載されている。
向かったのは、日本最東端、小笠原諸島の南鳥島。一般人は立ち入り禁止。周囲5.5キロの小さな島には自衛隊や気象庁の施設がある。1980年代に、南鳥島周辺の海底でマンガンノジュールが発見されたが、埋蔵量は長年謎のままだった。それを今回とうとう30日間かけて調べることになったのだ!
調査の南鳥島近辺100km四方。目指すは深海5500m。海底は一体どうなっているのか。フリーフォールグラブを使って海底のマンガンノジュール調査!時速4キロ。海底まで1時間半をかけて沈んでいく。
すると…!黒く丸い塊がいっぱい!これ全てマンガンノジュール!グラフでの調査は1回3時間、これを1日3回繰り返す。
計115ヶ所で行い量を計算した結果、100km四方の範囲がほぼびっちりマンガンノジュールで埋め尽くされ、総量は約2.3億tあると判明した。
回収したマンガンノジュールは、東京大学中村教授の研究室へ。まずは切断。中心に茶色いものがあった。マンガンノジュールは石の破片などが中心になって成長していくので、この茶色い部分は核で石や泥。
この核にマンガンや鉄などの酸化物が付着。1,000万年という長い年月をかけ、大きく成長したのだ。
このマンガンノジュール。大抵は丸いが、まれに三角形の形をしていることも。これは何が核となって成長したものだろう?
実はサメの歯!1,000万年前にいたサメ、メガロドンの歯が核!およそ200万年前まで生息した絶滅種の巨大サメ。そんなサメの歯を核に持つ激レア鉱物が日本の深海にあったのだ。
そもそもマンガンノジュールにはどんな成分が入っているのか。いくつかの成分が含まれているが、希少性が高いのがコバルトとニッケル。これらは身近な電子機器のリチウムイオン電池に欠かせない材料だ。世界で走る電気自動車はおよそ4,000万台。そのバッテリーにもコバルトとニッケルが多く使用されている。
コバルトの生産量第1位はアフリカのコンゴ。世界生産の半分以上を占めている。そしてコンゴから中国に多く輸出され、精錬されたものが世界に出回っているのだ。そんな中、日本の南鳥島深海にコバルトが日本の消費量75年分、ニッケルは11年分眠っていたのだ!
「資源国と生産する工業国は別々のところが多かったんです。しかし日本には精錬する会社があります。日本で取った資源を日本の産業で、サプライチェーンを閉じられることは、日本にとってとても恩恵があると思います。」と、中村教授。
マンガンノジュールは日本の経済を支える鍵となるのか!?今後も調査は続く!
「マンガンノジュールは様々なところにあり、ハワイ沖が有名なのですが、調べたところ、南鳥島の密度は、ハワイより2倍も多かったんです」と、海野さん。
ただ、これだけの可能性があると分かれば分かるほど、本当にこれを取って良いのか?長い期間かけて育ってきたものを私達の世代の判断だけで取ってしまって良いのか…。
今後は環境への影響に配慮して、海底に生息する生物の調査を慎重に進める予定だ。
この番組ではこれからも様々な海のテーマについて掘り下げていきます!日本の海底地形の調査も進んでいますが、まだ日本の浅い海でも3%しか分かっていません。津波など防災にも繋がっていくので大切な調査です。もっともっと海を知りたくなりますね。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
書ききれなかった内容や、深海生物の貴重な映像は、U-NEXTでご覧いただけます!