水難事故の防止や、自動運行線など日本全国で活用されている海のデジタルテクノロジー。続いては、海の資源を守るデジタル技術をご紹介。(こちらは放送した内容の3つ目記事です。最初から読む方はこちら)。
向かったのは、北海道留萌市、北海道といえばカニやウニなど、美味しい海産物の宝庫ですが、。
留萌市の名産というのがナマコです。中華料理の高級食材として珍重され、海の黒いダイヤと呼ばれるほど高値で取引されています。
このナマコ漁で活用されているデジタル技術を開発したのは、公立はこだて未来大学の和田雅昭さん。
豊かな北海道の海とはいえ、取り続ければ資源は枯渇するもの、ナマコの資源量は激減していきました。そんな状況を改善すべく和田さんが開発したのが、タブレット端末用のアプリデジタル操業日誌です。
「1回の操業での獲れ高を入力してもらって皆さんで共有します。タップするとこの日何回操業したのか、たとえば7/4は漁獲は3.8、2.4と表示されていますので、漁期の初めは漁獲が良かったのだな、とわかります。」と、和田さん。
各漁船が入力したデータはインターネットを経由してクラウドサーバーへ送られ処理されます。こうすることで、獲れたナマコの情報をそれぞれの船で把握することが可能になりました。
また、灰色の折れ線グラフは1年前の漁獲データ。去年に比べて漁獲量が増えていることがわかります。
この技術を導入したのが2010年。その2年後から資源量が増えており、留萌のナマコが順調に回復してきていることがわかります。
さらに、漁をしたルートが記録されるアプリ。マリンクロッカーを併用することで、同じ場所で漁を行って、ナマコを取り尽くすといった心配もなくなりました。
「後継者や若い人たちにも資源を残していくため、やはり情報を残したり資源保護が出来る、すごくありがたいと思ってます。」と、漁師さん。データ活用といった理念も一緒に引き継いで、漁に取り組んでくれたら非常に嬉しいですね。持続可能な漁業に最適なデジタル操業日誌。いいね!
和田さんの開発したシステムが活躍している北海道以外にも!留萌市から南へおよそ2700キロ沖縄県の石垣島です。
和田さんが好事例と太鼓判を押すヤエスイは石垣島の漁師が集って経営する合同会社。主力商品は、沖縄近海で獲れるマグロ!そのマグロの流通にデジタル技術がどう活かされているんでしょうか?
「喉から手が出るほど欲しかったやつ!」と、マグロの専門家が絶賛するのがヤエスイ専用に開発されたアプリ「いしがきマグロ」。
マグロ漁は1回量出ると日帰りではなくて1週間〜10日ぐらいなります。人工衛星を介してデータが飛んできて、漁師さんが各船ごとにどの種類のどのサイズのマグロが何本獲れたか。手元でいつでも見れるような形になったので効率が良くなったのだそう。
「持っている魚をいかに高く売ることができるか。しかも鮮度も良く持って来れるか。それをスムーズに行えるようになったのが一番利点です。」と、漁師さん。
今までの形だと船が港に入ってきて、ようやく船が持っている魚がわかったけれど、情報の方が船より一歩早く陸に届くだけで、やれることが意外に多かったのだそう。
そのメリットは水揚げ直後の港で目にすることができました!船が帰ってくる前から、どれだけマグロを持って帰ってくるか分かっているので、すでに送りの手配が済んでいたのです。
「今熊本に送るマグロ箱詰めしています。熊本に何箱送るか、そのための航空便の予約まで終わって、出荷のスタンバイをして、船を待ち受けてると状態になってます。」と、和田さん。
海産物にとって鮮度は最重要項目!時間が短縮されたことで、商品価値も上がり、最高の状態で出荷することが可能になるなんて!いしがきマグロ素晴らしいいね!
「一番は“美味しい”って言われるのが一番の目標です。その後がお金になります。」と、漁師さん。
日々進化を続けるデジタル技術。私達の生活をより安全に、より便利にしてくれるテクノロジーは、様々な形で海のために活用されています。地球上の全ての生き物にとってかけがえのない存在である海のために、私達ができることはまだまだあります。
「デジタル技術、その大きな可能性は、この海のように果てしなく広がっていることでしょう。
次回のみんなのあおいろは…
youtubeにてアーカイブも配信中!(放送後約2〜3週間程度でリリースされます)