いいね!じゃぱん!特別編。「海好きキッズ大集合!」。海ごみ以外にも、海が直面している問題があります。その1つは地球温暖化です。
(こちらは放送した内容の2つ目の記事です。最初から読む方はこちら)。
笹村樹生さんはこの大きな問題に向かい合いました。タイトルは「もう時間は多くない…ぼくたちは地球温暖化をどう食い止める?」
「暖かい海水と二酸化炭素が合わさり、海洋酸性化を招くのです。酸性化により、貝の殻がもろくなりやすく、穴が空いてしまうなど、育ちにくくなってしまうそうです。」と、樹生さん。
その他にも、サンゴや珪藻など様々な生物に悪影響が。温暖化には、酸性化という別の問題も引き起こす可能性があったんですね。
いろいろな問題を抱える海ですが、もちろん希望もあります。結城希和子さんの作品は「風の力で未来を変える!洋上風力の秘めた力を解き明かせ!」
「「2枚羽は効率がいいですが、騒音が大きくなるそうです。しかしながら、洋上に設置することにより、騒音の問題は解決します。洋上風力発電のメリットです!
洋上風力だけで、日本の電力量をまかないほど発電ができ、気候変動の原因となる二酸化炭素やメタンガスを排出しない再生可能エネルギーとしても期待されています。」と、希和子さん。
発電というポジティブな内容では、全体が明るいトーン。一方、温暖化という深刻な内容では、ショッキングな色使い。ひと目見ただけでも、色々な情報が飛び込んできますよね。インフォグラフィックの持つ視覚効果、すごいーね!
様々なテーマの作品が登場する海洋インフォグラフィックコンテストですが、最もノミネートが多かったジャンルが「海産物」でした。
まずは、山﨑陽花さんの「なぜ、大好きなふるさと納税の海苔が届かないの?」
「私の家では家族全員海苔が大好きで、2ヶ月に一度のペースで佐賀県有明海の海苔を200枚頼んでいます。ですが、今年に入って半年以上届かなかったので不思議に思い、このテーマに決めました。調べてみると、佐賀県の海苔の生産量が前の年に比べて約半分になっていることがわかりました。そしてその背景には地球温暖化がありました。」
「暖かいところを好むアカエイやナルトエビという浅瀬にいることが多い生物が有明海に増えたそうです。このナルトエビたちがアサリを食べるということも、アサリの減少に繋がっているといいます。なぜアサリの減少が海苔に関係あるのかというと、
大きさ約3cmの親アサリは1時間に1Lの海水をろ過することができるそうで、その中で植物プランクトンを捕食して海水の栄養塩のバランスを保つことができていました。ですが二枚貝の減少により、植物プランクトンが捕食されず増えたため、栄養塩が食べられてしまい、海苔に必要な栄養塩が減少した…つまり、海苔に必要な栄養が足りなくなったんです。」と、陽花さん。
海苔が届かない原因を右側。届くために必要な要素を左側に配置することでとても見やすいデザインになっていますね。インフォグラフィックって、わかりやすいーね!
海苔の次は魚!波多江美月さんの作品は「レッツポジティブ!魚種交代」
「海面や水温の変化によって獲れる魚が変わることを魚種交代といいます。海水温が上昇すると、マイワシが多く取れ、海水温が下がるとカタクチイワシが多くされるようです。生き物なので、綺麗に入れ替わるわけではなく、ズレは発生しますが、大まかに見ると、交代は起きています。
女の子と男の子のイラストを見てください。イワシ脳とは、この地域はこの魚という考え方。魚の音は、どの地域でもどんな魚でも食べたいね。という考え方。みんなの意識が、イワシから魚の変わることで、持続可能な水産業になるはずです!これからの魚種交代は、レッツポジティブ魚種交代!」と、美月さん。
しかし、獲れる魚の種類が変化するのではなく、量が減ってしまったらポジティブではいられませんよね。海藻が育たず、そこを住処にする生物もいなくなってしまう磯焼けという現象が日本全国で問題になっています。その原因と言われているのが、海藻を食べるウニの増加です。
「ここは綺麗な海だけど、本当は磯焼けによってとても深刻な問題が起きているのです。」と、教えてくれたのは、鹿児島県在住、今西奏大さん。
作品は磯焼けを解決するためのアイデアが詰まった「未利用なんて言葉はいらない!悪者をヒーローにするのはのぼくたちだ!」
鹿児島県の阿久根市では昔からウニ漁が盛んでした。ところが30年ほど前から温暖化の影響で海水の温度が上昇し、南の方に住んでいたウニが阿久根やってきて増え始めたのです。
「そこで立ち上がったのが小塚水産さん。一生懸命考えて、ウニの身ではなく、殻を活用することを思いつきました。一番におすすめしたいのは、うに殻を高温で焼いて粉にしたうに殻カルシウム。食品として、たくさんの料理に利用できるんです。」と、奏大さん。
そこで、阿久根の特産品である華あじをうに殻カルシウを使ってフライにした“阿久根イイネ!のお宝フライ”を研究レポートの中で提案したのだそう。磯焼けの原因の一つとされるウニを悪者にするのではなく料理を美味しくする素材にするという発想の転換!いいね!
磯焼けの原因の一つとされる、増えすぎたウニを活用するためのアイディアあふれる料理。奏大さんの研究に協力してくれた尾塚水産で試食会が開かれました。
ウニは小塚水産のある鹿児島県阿久根市の名産品ですが、海藻が減ることで、ウニも痩せて商品価値がなくなっているそうなんです。食べられる部分はこんなに少量。
身が少ないんだからからを使おうという発想で作られたのが、この「うに殻カルシウム」。その他の材料は一般的なものですが、名産品である阿久根の華あじを使うのが奏大さんのこだわりポイントです。ウニの殻って馴染みがないんですが、ミネラル分たっぷりで体にもすごく良いそう。
“阿久根イイネ!のお宝フライ”完成!悪者がヒーローに変身するという奏大さんのコンセプトで作られたオリジナルメニューです。
「外はサクサクで中がふわっとしてる美味しい!」と、奏大さんと尾塚水産の尾塚さん。磯焼け防止と美味しさを両立したアジフライ!いいね!
「人が利用できないものは、利用方法を考えつかないだけで、実はこのウニの殻だって、利用できないものと思い込んでるけれども本当は利用できる。つまり悪者からヒーローになれるっていうのを説明しようと思ったので、「未利用なんて言葉はいらない!悪者をヒーローにするのはのぼくたちだ!」を作りました。」と、奏大さん。
子供たちの海への熱い思いが詰まった海洋インフォグラフィック。海よりも深い探究心と柔軟な発想力で描かれた作品には、海洋立国である日本が進むべき未来も描かれているのではないでしょうか?
美しくかけがえのない海を未来へ。この先もずっといいねと言える地球であるために!
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次回のみんなのあおいろは…
youtubeにてアーカイブも配信中!(放送後約2〜3週間程度でリリースされます)