2023年3月、日本全国から海マニアの小学生が東京に大集合しました。行われたのは「全国こども熱源サミット」。
海と日本プロジェクトでは、海に関心を持ち、積極的な活動をしている子供たちに、様々な経験の場を提供し、より高いレベルで海について考えてもらうために、熱源ジュニアプロジェクトを発足しました。
このプロジェクトの一環で行われたのが、今回の全国こども熱源サミットです。全国から選ばれた20名の小学生が参加し、3日間にわたって行われました。
まずはメインイベントである熱源ジュニアの主張と題したプレゼンの模様を見ていきましょう。
トップバッターは小学6年生の佐々木蒼大くん。タイトルは「鯛の鯛 図鑑」。
「これは鯛の鯛と呼ばれる魚の骨で胸びれを支えている骨です。肩甲骨と鳥口骨という二つの骨がくっついてできています。」と、鯛の鯛について詳しく説明。この部分の取り方も教えてくれました。
蒼大くんが集めた鯛の鯛は、なんと80種類以上!貴重なコレクションも会場で展示。
この研究をまとめた図鑑は、第3巻まで完成しています。これからどんどん増えていくこと間違いなしですね。
続いては、小学5年生の石野立翔くんの発表。タイトルは「サメ研究が教えてくれた大切なこと」。
サメ研究歴1年半で調査した軟骨魚類は35種類以上という立翔くん。サメ研究で学んだことの一つは「自分の目で見る」ということ。
現場第1主義の立翔くんが熱中しているのが、サメの骨格標本作りですが、このサメの標本作りは匂いと怪我との闘いなのだそう。
「怪我をしても臭くても、サメが生きていた証を美しく残せるよう、絶対に諦めない気持ちを学びました。」と、標本の作り方と合わせて、研究での学びを教えてくれました。
続いては一風変わった魚の研究をしていた小学5年生の宮下孔伽くん。タイトルは「僕が好きな海・魚の不思議」。
孔伽くんが住んでいるのは日本で8つだけの海なし県、長野県です。その“長野県の年取り魚ブリとサケのひみつ”というテーマで、長野県内で地域によって食べられている年取り魚が違うなどを解明すべく、実際にスーパーに行き、販売数の調査を実施しました。
年取り魚とは、大晦日からお正月にかけて食べる魚のことで、大まかに東日本はサケ、西日本はブリにわかれているのですが、日本列島の中心に位置する長野県では、2種類が食べられているんです。
魚の生態だけでなく、食文化にまで研究を深めた研究。長野県に住む孔伽くんならではですね。
日本全国から集まった熱源ジュニアだけあって、地域性豊かな研究が目を引きます。「流氷」について発表してくれたのは水上咲季さん。日本で唯一、流氷が見られる北海道に住んでいます。
シベリアから吹く冷たい風で冷やされた海表はマイナス1.8℃で凍り始め、成長した流氷の裏側には、アイスアルジーという藻の仲間が付着して流氷を茶色くするそう。
春になり氷が溶けると増殖したアイスアルジーが大量に放出され、食物連鎖の底辺となり、海を豊かにしているのだそうです。
上映された流氷の動画に熱源ジュニアも興味津々。発表を聞くだけでなく、質問もできるから、本当にいろいろなことが学べます。
「沖縄に綺麗なビーチはたくさんあるけれど、その中でも私は那覇という都会にある小さな人工ビーチ“波の上ビーチ”が大好き。」今回のサミットには、下は北海道、南は沖縄と日本全国から熱源ジュニアが集まりました。
そんなジュニアたちに、日本財団の海野常務理事から、お揃いの帽子をプレゼント。これは素敵な記念になりましたね。
全国こども熱源サミット。会場で生まれた交流はサミット終了後にも続いていました。ここは千葉県木更津市の干潟。そこにお揃いの帽子をかぶった3人組の姿が。
立翔くんは千葉県に住んでいますが、蒼大くんは神奈川県。孔伽くんは長野県です。住んでいる場所がバラバラな3人ですが、お母さん同士が熱源サミット時にメールで繋がり、みんなで会える機会を作ってくれたそう。
熱源ジュニアにとって一番の遊び場はやっぱり海。気の合う仲間と潮干狩りなんて最高です。「潮干狩り初めてです!アサリ以外にも色々いて楽しい」と、長野の孔伽くん。「これは、アサリなどの貝に穴を開けて食べる貝でツメタガイです!」と、嬉しそう。さすが熱源ジュニア。なんでも知っています。
それにしても、昔からの親友と思えるほど、みんな仲良し。「学校だとこんなに魚や海に詳しい子がいないので、何を話しても伝わるところが楽しくてしょうがないみたいですね」と、お父さんやお母さんもびっくりです。
立翔くんは次のサプライズも用意していました!実は立翔くん皆んなに千葉の海を味わってもらいたいと、市場で新鮮なスズキを買ってきてくれたんです。
もちろん、さっき撮ったアサリも一緒にみんなでレッツクッキング!
「これが肝臓で、これが浮袋、こっちが胃で、これは幽門垂。」と、立翔くん。熱源ジュニアにかかれば、魚の内臓も立派な教材になります。
ここで、心強い味方。蒼大くんのお父さんは、イタリアンレストランのオーナーシェフなんです。プロが教えてくれるから、大きな魚をさばくのも安心ですね。
まずはお鍋の中にオリーブオイルをたっぷり入れ、スズキの切り身に軽く塩振ってお鍋に投入。新鮮なアサリをたっぷり使い、ミニトマトにパプリカ、マッシュルームとにんにくも入れます。具材が浸る程度の水を加え、沸騰したら弱火で10分ほど煮込んでいきます。
鍋が煮える時間を使ってもう1品。スズキをそぎ切りにして、氷水洗って、盛り付ける「洗い」です。淡白な味わいのスズキに適した料理法で、氷水に浸すことで身が引き締まり、ぷりっとした食感になるんです。
お鍋も完成!これはアクアパッツァというイタリア料理。彩りも鮮やかで、丸ごと入ったスズキの頭が豪快ですね。海の魅力がギュッと詰まった新鮮シーフード料理の完成です。
「美味しい!」「うまい!」と笑顔が溢れる3人。「魚が嫌いって子も、こういう美味しい魚料理を食べて好きになってほしいな」と、蒼大くん。
「オリーブオイルが効いてる。」「全部の旨みが入ってる」と、食レポも完璧な3人でした。
さらに食べるだけじゃない楽しみ。「鯛の鯛は鰓蓋の骨のここら辺にくっついてます。」と、教えてくれたのは、熱源サミットで鯛の鯛と呼ばれる骨の魅力を発表してくれた蒼大くんです。
今回はスズキのスズキ。どんな形をしているのかな?種類は違っても、やっぱり魚みたいな形をしているんだね。鯛と比べてみると、微妙な違いがわかりますね。
実はまだスズキのスズキを持っていなかったという蒼大くん。「ありがとうございます。」「どういたしまして!」楽しくて美味しい最高の思い出になった共同学習。熱源サミットで生まれた友情はこれからもずっと続いていきますね。
まだまだ続く「全国こども熱源サミット」。海ごみ拾いの発表や、ピリカを使ったごみ拾い活動の様子は後編をご覧ください!
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全国こども熱源サミット篇 〜WEBまとめ後編〜