2024年1月6日〜15日、北海道札幌市にある都市型水族館「AOAO SAPPORO」で、海が大好きな中学生3名がイチから企画した特別展が開かれました!水族館とのコラボ企画展示という難しい課題に挑んだ中学生に密着し、どのような展示に仕上げたのか取材を行いました。
企画に挑んだ中学生たちは、海と日本プロジェクトin東京が主催する「海洋インフォグラフィックコンテスト」で2年連続ノミネートされた経歴を持つ三人。コンテスト後も、海の魅力や課題を伝える活動に取り組み続けているため、“レジェンドキッズ”と呼ばれています。
2023年11月上旬、夏にオープンしたAOAO SAPPOROさんから、”北海道の海の今と未来展”という企画展示のコラボオファーが来ました。趣旨は「北海道を舞台に、海の魅力や問題を、より多くの子どもに、身近に考えてもらえる企画を立案する!」というもの。イチから企画し、展示方法まで全てをプロデュースして欲しいという依頼に、三人は緊張しながらも快諾しました。
12月上旬、三人は展示企画の内容を考えるため、AOAO SAPPOROの山内館長の元へ。シシャモが年々減少していると言われている北海道むかわ町を案内してもらい、ふ化事業を実施している現地の漁業組合や役所の方からお話を伺いました。北海道の海の問題点が見えてきた三人は、シシャモの生態や流通、環境の変化等、様々な観点で積極的に質問。学びを深めました。
その後、展示及びプレゼンの舞台となるAOAO SAPPOROの館内の見学へ。水族館の雰囲気やお客様の観点に立った展示の見せ方や伝え方を学び、特別展の展示方法をどのようにするか考えました。
フィールドワークを踏まえ、展示テーマは北海道固有種の「シシャモ」に決定。シシャモが絶滅危惧種であることや、シシャモを通して海の問題を伝えることにしました。「この海の異変や現状を多くの人に知ってもらいたい!」「来館者に興味を持ってもらえるような展示にしたい!」という目標に向かって、展示ポスターの原案となる研究レポートの制作に乗り出しました。
出来上がった原案レポートはこちら!!!さすがは海洋インフォグラフィックコンテスト2年ノミネートのレジェンドキッズたち!本格的でわかりやすいインフォグラフィックでまとめられており、中学生が作ったとは思えないクオリティです。それぞれ誰がどのような想いで作ったのでしょうか?
三輪さんは、埼玉県の中学校や北海道の中学校で「シシャモを食べたことがあるか?」というアンケートを取り、調査結果を円グラフに落とし込みました。また、実際に海水温の上昇を体験してもらうべく、インフォグラフィックを用いながらレポートをまとめました。
鈴木さんは、得意のデータ分析で漁獲量と海水温の推移データを作成。シシャモがなぜ減ったのか、地球温暖化の可能性を示唆しながら、シシャモの未来を守るため、海の問題点や取り組みを視覚的に分かりやすく表現しました。
萩原さんは、絶滅危惧種である固有種の特徴を、カラフトシシャモと比較しながらまとめました。さらに、繋がりのある「海と日本プロジェクト 海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」でおなじみの、一般社団法人日本3D教育協会 吉本さんにお声がけをして、シシャモのリアル模型を制作!本物さながらの模型を展示することで絵や写真では伝わりにくい細心部までじっくり観察してもらうことが出来ます。
三人の原案をプロのデザイナーさんの手で展示ポスターに仕上げてもらい完成。いよいよ設営です!
三人は展示の前日に会場入り。掲出するポスターパネルや展示品等の仕上がりを最終確認し、水族館スタッフとともに自ら設営にあたりました。水族館で行われていた他の企画展示を参考に、来場者目線で展示を見直しながら翌日に備えました。
展示初日は、中学生たちによるプレゼン会も行いました。リハーサルではちよっとした段取りが噛み合わなかったりとギリギリまで練習していた三人でしたが、本番では子どもも大人も夢中になる、分かりやすく丁寧なプレゼンを披露。
なぜ「シシャモ」をテーマに選んだのか、シシャモの生態や現状の報告、シシャモをめぐる気候変動や海の問題など、レポート制作の過程を交えたプレゼンに、多くの人たちが足を止め聞き入ってくれました。予想以上の集客にAOAO SAPPOROさんも大喜び。
プレゼン後は緊張が解けた三人。リラックスした雰囲気の中、来場者にシシャモを食べたことがあるかどうかのアンケートをとったり、海水温を体感できる展示物等のガイドも行いました。興味を持ってくれた小さな子ども達も多く、たくさんの人たちにシシャモのことや、海の問題を伝えられました。
魚が泳ぐ水槽は無いポスターメインの展示でしたが、「シシャモ」という、身近な魚をテーマにしたことで、水族館を訪れた人たちの多くが、ポスターの前で立ち止まり、海の問題に関心を持ってくれました。ここで取ったアンケート結果はまた後日、展示する予定です。
家で「本物のシシャモだから、だいじに食べて!」と出される魚が、さらに特別になりました。尊敬するお友達と一緒の見学・準備・発表で学べましたし、いい経験になりました。「小さな子にも分かるように」のオーダーも、データ整理も難しくて大変でしたが、水族館で「シシャモ!」とお客様が興味を持ってくれて嬉しかったです。今回、英語文章を担当して、英語の資料がないと日本の問題が海外に届かないかも、と気づけました。逆に、私の知らない課題も世界にたくさんあると思うので、意識して活動したいです。
人間活動が生き物に与える影響を実感しました。1人1人が海を守る意味を、この展示から感じて欲しいです。ポスターのデザイナーさんと親しみやすい表現を考えたり、神戸の先生と3Dモデルを作成したり、伝え方を中学生3人で練ったり、限られた期間でより良くするために悩みました。多くの人との連携は難しい分、1人ではできない大きな成果となりました。集大成の発表を、小さな子が真剣に聞いてくれたのが嬉しく、展示を行ってよかったと思いました。
AOAO SAPPORO水族館さんとコラボし、ワクワクが止まらない2か月でした。展示のインフォグラフィック制作においては、レジェンドキッズそれぞれが離れた場所でWEBを通して作業をしましたが、こまめに連絡を取りアドバイスしあうことができて、3人のチームワークが本当に良かったです。この展示を機に、海の幸が豊かな北海道で、今回のように温暖化の問題が心配されるようになっているということを、もっとたくさんの方に知ってもらいたいです。
札幌市中心部の複合商業施設「moyuk SAPPORO」内に2023年夏にオープンした都市型水族館。“生命のワンダー 〜見えないものが見えてくる〜”をテーマに、陸場を“ホップ”して(飛び跳ねて)移動するペンギン「キタイワトビペンギン」や、自然の生態系を再現した「ネイチャーアクアリウム」、生物の特徴にフォーカスした43本の水槽が立ち並ぶ「ライブラリーアクアリウム」など、250種4000点(植物を含む)の生物を展示しています。
→ https://aoao-sapporo.blue/
むかわ町は、道央圏の南方に位置し、北海道の経済・文化の中心都市である札幌市や空の玄関の千歳市、海の玄関である苫小牧市にも近く、日高・十勝方面への交通の要衝にあります。日高山脈と太平洋に囲まれ、全国屈指の清流度を誇る一級河川「鵡川」が町内を縦走しています。海・山・川の恵みを受け、「鵡川シシャモ」「ほべつメロン」の地域団体商標を持つ「人と自然が輝く清流と恐竜と交流と食と健康のまち」です。
詳細は…
みんなのあおいろ30分スペシャルで放送いたします。
YouTube配信も予定していますのでお楽しみに!
イベント名 | AOAO SAPPOROコラボ「北海道と海の未来」展 |
日程 | 2024年1月6日(土)11時~ 2024年1月15日(月) |
場所 | 北海道札幌市中央区南2条西3丁目20 moyuk SAPPORO 5F AOAO SAPPORO 5F LIBRARY AQUARIUM(観察と発見の部屋)前 |
主催 | 海と日本プロジェクトin東京、株式会社 青々 |
協力 | むかわ町役場 / 鵡川漁業協同組合 / 株式会社カネダイ大野商店 / 一般社団法人日本3D教育協会 / 海の仲間たち / moyuk SAPPORO / アートスクールTORNADO / おたる水族館 (順不同) |